J2第36節でここまで“無敗”の松本育夫監督率いる栃木SCは、ガンバ大阪に4-2で完勝。
前半こそ劣勢を強いられたが、相手の運動量が落ちた後半は圧倒し、大量4ゴールで1万人を越えるホームの大観衆の前で激勝した。
松本育夫監督は9月13日の監督就任以降、4試合で3勝1分と負けなし。
豪腕、松本育夫の新たな伝説の幕開けだ。
試合後のロッカールームで松本育夫監督は、
「努力に限界なし!」
と、激勝に興奮冷めやらぬ選手たちがさらに奮い立つような熱い言葉を投げ掛けたのだった。
この日の相手は西の横綱、ガンバ大阪。
J1昇格昇格プレーオフ圏内までやや勝点差のある栃木SCにとって、相手がガンバだろうと負けられない試合。
だが、絶対に負けられない理由がもう一つあった。
ガンバ大阪戦のチケットは事前に完売。観衆は優に1万人を越えることが予めわかっていただけに、松本育夫監督は「今後の栃木の命運を握る大事な試合」と、一見さんも含む大観衆に「感動的な試合を披露して勝利すること」を目標に掲げたのだ。
実は、松本育夫監督は現在、クラブの取締役を兼任する形で監督業をこなす二束のわらじ状態。
事実、現在の松本育夫氏の名刺の肩書きには「監督」「取締役」の二つが併記されている。
取締役として担う業務は集客面。
監督になった今でも、街の飲食店に繰り出せば店員やお客さんを捕まえてひたすら名刺を配りまくる営業マンの顔をみせる。
日本サッカー界でも非常にレアな「監督」と「取締役」が併記された名刺をゲットできるのだから、もしも名刺をもらった人はお宝を手にしたことになるのだ。
今回のガンバ戦の試合前も、松本育夫監督は指揮官であるにもかかわらず、キックオフ数分まで社長や副社長と連れ立ってホーム・栃木県グリーンスタジアムに詰め掛けたお客さんに挨拶をして回る徹底ぶり。
「これだけ集まったお客さんたちの期待に応えること。それこそが男の仕事だ!」
試合直前には選手立ちにそう発破をかけてピッチに送り出し、自身はベンチワークでチームを自在に操縦。見事にガンバ大阪に4ゴールを叩き込み、上位を追随する勝点3を手に入れたのだ。
松本育夫監督は試合後の記者会見で、
「今日の目標は達成ですね」とニンマリ。
新たな伝説の達成だ!
【了】