ザックのスタイルを体現するような細貝
日本代表の東欧遠征を前に、ブンデスリーガは第7節を終えた。1部に所属する8人の日本人選手はそれぞれの課題と向き合う中、新天地での挑戦となった2人のボランチにとっては充実した序盤戦だったと言える。
開幕からセンセーショナルな活躍を見せたのがヘルタ・ベルリンの細貝萌だ。開幕戦で乾貴士の所属するフランクフルトを6-1で粉砕すると、攻守に渡る獅子奮迅の働きでチームのスタートダッシュを支えた。もともとハードプレスや厳しい局面での体を張った守備には定評があったが、ヘルタで目立っているのは攻撃面でのイニシアチブだ。
ボールを奪った時に、ただ攻撃的な選手にボールを預けて終わりではなく、少しでも良い位置の味方に縦志向のパスを通しながら、好機と見ればその味方を追い越してバイタルエリア付近まで駆けあがる。
それでいて味方がボールを奪われた時の切り替えも素早い。アウクスブルク時代の恩師でもあるルフカイ監督の意を汲んだプレーだが、日本代表でザッケローニ監督が目指すスタイルを体現するかのような序盤戦だった。
その細貝は8月のウルグアイ戦での代表招集に対して辞退の意向を示し、新天地でチームやスタイルに慣れることを優先した。
そのことで「ザッケローニ監督は良く思ってはいないかもしれない」と語ったが、もともと日本代表での飛躍を期しての移籍でもあり、事情はイタリア人指揮官も理解するところだろう。そのことは今回の代表復帰として証明された。
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