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飛躍を続ける酒井宏樹。“荒々しい”サイドバックが見せる“攻撃的な守備”とは?

text by 本田千尋 photo by Ryota Harada

未完成であるが故の魅力

 ベルリンとの戦いでは、相手は左サイドハーフのシュルツと左サイドバックのファンデンベアクを中心に、これでもかと言うほど酒井のサイドを突いて来た。それ故、前線へのオーバーラップはあまり垣間見えず、守備に回る事が多かったが、酒井は「攻撃的な守備」を見せてくれた。

 相手に執拗に食らいつく。豪快にスライディングタックルをする。全身のバネをフルに使って、ボールを弾き返す。その攻撃性は十分に魅力的であった。

しかしその攻撃性は、荒々しさ、と言い換えることもできるが、ときに危ない場面を招いてしまうこともある。ディフェンスで改善すべき点はあるとは思うが、未完成であるということもまた、魅力であり、可能性なのである。
 
 後半アディショナルタイムに、酒井が駆け上がった。右サイドを、フスティにボールを入れて、そのまま大きく外を回って駆け上がった。後半唯一と言ってもいい上がりだった。

 フスティはボールをゴール前へ送り、酒井へとは繋がなかったが、そこには攻撃的な攻撃、ダイナミズムが、ほんの少しではあるが垣間見えた。酒井のそのような特徴に魅力を感じるハノーファーのファンも、徐々に増えて来ているのではないだろうか。

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