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完成しかけたチームを“壊した”ブラン監督。PSGの新システムは吉と出るか?

text by 小川由紀子 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

昨季と踏襲すれば良かったと思われたが…

 前任者のアンチェロッティは、着任した2011-12シーズンの冬から、翌シーズンの12月まで、およそ9ヶ月を費やして、現メンバーをもっとも効率的に使うシステムにたどり着いた。それが、イブラをもう一人のアタッカー(昨季の場合はメネーズかラベッシ)と組ませた4-4-2だった。

 臥体の良さでは誰にも負けないイブラだが、その身体能力を生かせる前線に張ったセンターフォワードよりも、一歩下がった場所で自由に動けるスペースを与えられる、「10番」的な役割を好む。

 他の攻撃手には、その彼の奔放なムーブメントと被らず、なおかつ自身の良さを出せるポジションが与えられることが必須となるが、試行錯誤の末に巧い具合に収まったのが、4-4-2だった。

 今夏、前年度のセリエA得点王カバーニが参入したが、その他の主力に変更はなかったから、誰もが「4-4-2のままイブラのパートナーをカバーニに変えるだけで即機能するだろう」と予想した。ポジショニングが巧く、相手に合わせて臨機応変に動ける彼なら、フリーロールのイブラとも噛み合うはずだった。

 ブラン監督もそれを考えていたのだろう。実際、就任後の数試合は、4-4-2を採用した(カバーニの出場は2節から)。しかし、そのシステムで戦った1、2節ともにドローを喫したことで危機感を感じたのか、突如4-3-3への変更を試みた。イブラをトップに、ラベッシが左サイド、カバーニが右というラインナップだ。

 すると、3節のナント戦で初白星。以来、9月22日のモナコ戦以外は勝利を重ねているから、もはや定着してしまった感がある。

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