閉鎖的な雰囲気は残るが進歩していないわけではない
大きな国際大会に日本人審判が上がる機会が確実に増えているのも、日本人審判のレベルが着実に向上している証だろう。とりわけ、アジアでの日本人審判への信頼度は高い。なぜかと言えば、八百長に応じず、仕事に対して真摯に取り組んでいるからである。
審判の「レベル」と言ってもいろいろあるが、最も強く求められる資質が「高潔さ」であることは言うまでもない。金品に釣られることなく笛を吹き、国際舞台での信用を勝ち取っている日本人審判の存在を、私は誇らしく思う。
別に現状の“審判業界”を全肯定する気はない。相変わらず「どうせ審判のことは審判にしか分からない」と言わんばかりの閉鎖的気質には閉口させられることがあるし、「話せない」審判も少なくない。
「プロ」として契約している審判の立場や体面を守りすぎているのではないかという疑問もある。たとえば、悪質なファウルについて映像で後から追加処分を科すといった制度の導入は検討するべきだろう。
国際試合に比して、手を使うプレーに対して反則の取り方が甘く、体を使ったチャージが正当と認められる幅が狭いといった全体的傾向も、もっと改善されるべきだ。
ただ、「日本の審判のレベルが上がっているのか?」という問いに対する私の回答は、明確に「Yes」だ。まだまだ向上の余地はあるが、決して「この20年進歩していない」といったポジションではない。
【了】
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