広島は小谷野社長の就任以降スピード感が上がっている

宇都宮　僕は最近、Jリーグの責任ある立場の方々とお話する機会が増えて、初対面の場合はさり気なく前職について質問するんですよ。彼らのバックグラウンドから、Jリーグの人事面での戦略が見えてくるような気がするから。その結果わかったのは、本当にいろんなところから優秀な人材を集めているのね。銀行だったり、携帯電話会社だったり、NHKだったり、日本マクドナルドだったり。逆にサッカーブロパーっていう人は、あんまりいないような気がする。

澤山　そうじゃないほうがいいと思います。サッカー好きの人で経営的なあれこれに興味もある人ってそんなに多くなくて、それよりもピッチ上のあれこれのほうにすごく興味があるから。で、それはそれでいいんです、そうじゃないと日本のサッカーは発展していかない。経営のことは経営者が考えればいい。現状見てみると、皆さんのすごい経歴だったり、能力だったりが十分に発揮されているとは思いがたいので。たぶん規制があるからだろうなという。

宇都宮　規制緩和って、いろんなところで叫ばれているけど、Jリーグに限らず実際にはなかなか緩和されていないですよね、この国の状況を見ていると。うまくいっている事例って、どれだけあるんだろう？

澤山　今見てると、サンフレッチェは特に小谷野さんが社長になって以降、スピード感がすごいですね。小谷野さんは若手のスタッフに、プロモーションのアイデアを何十個も出せとスタッフに宿題を与えていると。で、いいと思ったやつはすぐ採用している。

　多分広島市内でしか配布されてないと思うんですが、『あまちゃん』とコラボした、というか拝借した（笑）『ちばちゃん』というティッシュを作ったり（参照）。「じぇじぇじぇJ1」とか。そういう小さなアイデアを、すぐにポンッと実行しちゃう。「お、ちょっとなんかヘンだぞ？」みたいな感がありました。例えばそういうスピード感ですね。

宇都宮　そういう企画力の先鞭をつけたのが川崎だよね。

澤山　川崎も抜群にうまいですよね、そういうのは。

宇都宮　広島も川崎を意識している？

澤山　してると思いますし、参考にしていると思いますね。