ジャイアントキリングだけでは継続性はない
もっとも、Jリーグ勢の力が落ちてきているのは単純な懐事情の問題だけではない。能力の高い国内選手がどんどん海外に流出している影響も大きい。浦和やG大阪がアジアで頂点に立った頃であれば、海外挑戦できる選手は非常に限られていたが、今は“いい選手だな”というくらいの評価の選手であっても海外に出られる環境だ。
一昔前なら1つのクラブが代表主力級の選手を抱えることもできたが、今はJリーグ全体を見渡しても代表レギュラー格の数は限られている。
クラブが若手を育てても、主力として計算が立つレベルになった途端にいなくなるというのではチーム力はなかなか上がらない。移籍金で能力の高い選手を補強するというサイクルも、今の日本にはできていない。外からいい人材を取れず、内からいい人材が流出するとなれば、アジアの強豪との差が開いてしまってもしかたがない。
持たざる者が知恵と気力を振り絞り、持てる者を打ち倒す姿を見るのは爽快だ。ジャイアントキリングのカタルシスはサッカーの魅力の1つでもある。戦力で劣るなら、工夫を凝らして生き残る道を探るのは重要なことだ。
しかし、奇跡はたまにしか起きないから奇跡なのだ。JクラブがACLの舞台でコンスタントに結果を残すためには、身も蓋もない話だが、どうにかして経済力を高めていくしかない。
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