今のオーナーは“歩くATM”の異名をとった元首相の息子
実は報道にされた4,000万という年俸に、私はそれほど驚かなかった。その理由はスパンブリーFCというチームにある。
スパンブリーFCの代表ウォラウット・シラパアーチャー氏の父親は、1995-1996年にタイの首相を務めたバンハーン・シラパアーチャー氏だ。スパンブリー出身のバンハーン氏は建設や運送業で財を成してから政界入りし、豊富な資金力から“歩くATM”なるニックネームもついていたという。
バンハーン氏は大規模な公共工事を地元に誘致し、街には広い道路がいくつも整備されている。今も存命で先日もスパンブリーFCの試合を観戦しに来ていた。ちなみにバンハーン氏の弟で今年亡くなったチュンポン氏も、インラック政権でスポーツ・観光大臣を務めていた。そんな地域の有力者が、肝いりでチームのバックについているのだ。
豊富な資金を持つブリーラム・ユナイテッドも、やはりタイの大物政治家だったネーウィン氏がオーナーで、主力外国人選手には数千万円の年俸を払っていることで知られている。スパンブリーFCもそれくらいの年俸を欧州経験のあるカレンに用意してもおかしくはない。
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