スタジアムの53%が空席である
満員のスタジアムには、それだけで身震いするほど興奮する魅力がある。
イタリア・セリエAのユベントスは、新スタジアムを建設するにあたり、満員のスタジアムが醸し出す熱狂的な雰囲気を手に入れるため、以前のスタジアムよりも規模の小さいスタジアムを意図的に建設した。
また、アメリカ一の人気を誇るアメリカンフットボールにおいては、試合日の72時間前までにチケットが完売していない場合、スタジアムを中心とする半径75マイル圏内では当該試合のテレビ放送を中止するという「ブラックアウトルール」をリーグ主導で展開している。そういった半ば強引な方針をとってまでも、スタジアムを満員にし、熱狂的な空間を創りあげ、それに付随する価値を高めようとしているのである。
逆転に次ぐ逆転のようなドラマティックな試合展開でも、まばらな観客数では盛り上がりに欠けてしまう。実際、日本代表がアウェーや第3国のガラガラのスタジアムで試合をすることがしばしばあるが、TV観戦しながら、その臨場感と緊張感の無さに物足りなさを感じてしまうのは私だけではないだろう。
集客率という指標がある。これは、簡単に言えば「スタジアムの何%が埋まっているのか」を表す数値であり、観客動員数とスタジアムの収容人数から算出される数字である。J1とJ2が同一日(5月6日の月曜日)に開催されたJ1第10節・J2第13節の集客率のデータは画像の通りである。なお、この日はGW最終日の祝日であり、全国的に晴天に恵まれた1日だった。
リーグ全体として見ると、平均集客率は47%であることがわかる。つまり、この5月6日のJリーグ20試合に関して言えば、スタジアムの座席は半分も埋まっておらず、スタンドの53%が空席である、ということである。イングランドのプレミアリーグの平均集客率が90%前後であることを考えると、非常に低い数値であることが読み取れる。