有力選手をJに呼びにくい現実
Jリーグ誕生後の20年で、国際移籍市場は様変わりした。もっとも金を出せるリーグの一つだったJリーグは、日本経済の長期的低迷もあって資金力を徐々に喪失。欧州CLの大改革が成功を収め、新興国から資金を集めるノウハウをも確立した欧州のサッカー界は大幅な発展を遂げた。
日本人選手がそこに未来を見出して旅立っていくのは、もはや日常茶飯事とも言える光景である。その流れは止まらない。
他方、Jリーグに豊かな実りをもたらしてきたブラジル人選手の立場も大きく変わった。ブラジルの急速な経済発展により国内リーグで十分なサラリーを受け取れるようになった王国の有力選手たちは、南米大陸にとどまる道を選ぶようになってきている。
彼らを連れ出すには、相応の金額が必要で、それができるクラブは限定的だ。柏戦でも活躍した広州恒大のFWエウケソンは、Jクラブも狙っていた選手である。だが、積める金額に差があり、彼は中国行きを選んだ。
それが良いとか悪いとかではなく、そういう時代であるという認識は必要だろう。日本人選手の技術的なアベレージが大きく向上したとはいっても、これだけ多くの選手が欧州に旅立ち、一方で国際移籍市場での競争力が相対的に低下したJクラブは、有力選手を海外から連れてくることができなくなってきている。
さらに国内では戦力が均衡し、図抜けたクラブは存在しない。となれば、ACL出場クラブを比較したときに、戦力面でJクラブが見劣りしてくるのは無理もない話だ。
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