付け入る隙はあるが、求められるリスクマネジメント
「アルシャバブ戦のように良い守備から良い攻撃を仕掛ける」と試合のイメージ語る栗澤僚一の言葉通り、柏は奪った時こそ大きなチャンスが生まれる可能性が高い。なぜなら、エウケソン、ムリキ、コンカ、彼らはあまり守備をこなさず、ほぼ前残りをするからだ。
そして彼らを除いた7人の選手で守備ブロックを形成してくると思われるが、外国籍の3選手が前線から守備をしない、あるいはプレスを掛けてこないならば、そこを糸口に広州の守備に綻びを生み出すことは可能であり、これを利用しない手はない。
アルシャバブ戦でも長い距離を走り、中盤から前線に飛び出して攻撃に厚みをもたらした田中順也、優れた駆け引きと瞬間的にギャップに入る動きでゴールを陥れる工藤、柏が誇る2人のアタッカーは現在好調だ。広州の守備にわずかでも綻びを作り出せば、工藤、田中、ジョルジ・ワグネルが好調なだけに得点チャンスは十分に作れると見ている。
だが気を付けなければならないのは、柏がカウンターを仕掛けた後だ。仮にミスなど不用意な形でボールを失った場合、前残りしているエウケソン、ムリキ、コンカによるショートカウンターで手薄な守備の背後を突かれ、彼らのスピーディーな攻撃の餌食となってしまう。
つまり、切り替えの瞬間は双方にとってチャンスであり、逆にピンチが混在することを意味している。時には攻め急がずにスローダウンして落ち着くことも必要だ。
当然、勝ちに行くためにはどこかでリスクを冒さねばならない局面も出てくるだろうが、柏が前へ出る場合、ボランチや最終ラインは極力リスクマネジメントの意識を高く保ち、前残りをしている選手のケアは90分間持続させたい。
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