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内田篤人の1on1を徹底分析。世界で戦えるサイドバックの“個の力”とは?【中篇】ポジショニングを制する者は1on1を制す!

text by 河治良幸 photo by Asuka Kudo / Football Channel , Ryota Harada

ディフェンス陣の距離感を保つ

藤間:先ほど藍澤さんは内田選手が動いてないって言っていましたが、例えばディフェンスラインで横パスをされるだけで微妙に状況は変わって、ポジショニングも微妙に変わってくるんです。

 逆サイドにボールがある状態、60メートルのパスなら、出されてからでも追いつけるから多少あけてもいいやっていうポジションにいても、そこから20メートルの横パスが中央に出ると、マークすべき相手へのパスの距離が短くなりますね。

 そうやって状況は変わったのに、60メートルの時と同じように離れてマークしていたら追いつけない可能性が出てきます。だから少しだけ近づく、という感じ。相手のボールがどこにあるかによって細かく動いているんですよ。

 でもその時はダッシュしているわけじゃないので、そういう時にカメラで抜かれたりすると、ダラダラ動いてサボっているように見えるかも知れません。

今矢:むしろそういう時はダッシュで動かない方がいい。仮にウッチーだけがダッシュしてセンターバックの選手がついてきていなければ、サイドバックとセンターバックとの間が開いてしまいますよね?

 このディフェンスの距離感って実は大事なんです。ウッチーだけサイドへ流れて吉田選手はついてきていませんという事だと、今度はその2人の間にスペースが出来てしまうのでよくないんです。サイドバックとセンターバックの間のスペースは、サイドバックとタッチラインの間のスペースよりも危険な位置ですから、そこを空けない様にグループとして動かなければならないんです。

 だから、もたもたしているように見えても、内田選手の中でそういうバランスをとってちょっとずつ最適な位置に動いているという事ですね。

河治:1on1といってもボールがないところでの1on1っていうのもあって、それがすごく重要なんですが、どういう位置をとっていれば大事なボールがきたときに負けないかとか、いきなりゴールに突っ込まれたときでもカバーにいけるか、ダイレクトに合わせて来たときでもクリアできるかとか常に考えながら動くと言うのが1on1で最も大事なことです。

 ボールを持って強いというのももちろん大事ですが、目の前の選手との勝負もあるけど中との関係もあるので常に考えていなければならない。

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