オールマイティーなGKへと進化
0-2で勝利した5節のモンス戦でも、至近距離からの1対1、約30メートルのロングボレー、コーナーキックと、あらゆる球種のピンチがゴールを襲ったが、そのどれをも落ち着いて着実にセーブした姿からは、自信と安定感が見て取れた。
すでに反射神経の良さには定評があり、ライン際での低い球のキーピングに関してはベルギーリーグ一と評価されていた川島だが、不安定さが指摘されていたハイボール処理の弱点が改善されてきたことで、死角のない、オールマイティーなGKへと進化しようとしている。
ベックスは、たしかに魔法の杖を持っていた。
しかし、彼は川島を「変身」させたのではなく、埋もれていた才能を引き出して「進化」させた。30歳にして、飽くなき向上心を持ち続ける川島は、さらに高いところを目指して、自身の可能性に挑戦し続けている。
今、彼の視野の先にあるのは、来年のワールドカップ出場だ。この大会に、日本代表のナンバー1GKとして出場すること。これは1つの大きなモチベーションであり、目標だ。そのためには、今季、試合に出続けてパフォーマンスを安定させることが大前提となる。
サポーターから非難され、ライバルとなる新GKを獲得されるという厳しい状況も、川島にとっては闘志をさらに奮い立たせる起爆剤になったに違いない。ベルギーリーグで奮闘する彼の成長は、日本代表の守備力向上にも、つながっていく。
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