攻撃のために守備的なリスクを負うべき
前述のように、ここまで強豪との対戦が続いたからか、無難な守備的な選考が多過ぎた。2列目には守備的には不安があるが、攻撃面で違いを作れる、香川真司やナニのような即戦力もいれば、ウィルフレッド・ザハ、アドナン・ヤヌザイのような若いタレントもいる。
また時にはコーチを兼任しているベテランのライアン・ギグスという選択肢もある。バレンシア、ヤングの両翼では創造性に欠き、攻撃面の能力の限界を露呈している。せめて片翼は攻撃的な選手を配置すべきだ。
それは強豪相手でも同様だ。ファーガソン前監督は時に「奇策」にも見えるような、守備的なリスク負っての攻撃的な采配をとってきた。
昨シーズンだと、3月に行われたCLのレアル・マドリー戦セカンドレグでのギグス右ウイング、ナニ左ウイング起用のインパクトは大きかった。
ナニが退場してしまったために、結果的に敗戦になった。ただレッドカードが提示されるまでの時間は、ポゼッションは出来ずとも、攻撃的な選手を起用しているのもありレアル・マドリーに対して効果的なカウンターで試合を支配していた。
当たる時もあれば外れる時もある。とはいえチャレンジなくしての成長はありえないのだ。そこで、一つのチャレンジとして香川スタメン起用はもう少し増えるべきだ。
CL初戦のレバークーゼン戦の香川真司の攻撃面は素晴らしいパフォーマンスだった。彼がいるのといないのとでは、ユナイテッドのリズムは激変する。
これは香川が日本人だから言っているわけではない。実際に見れば明らかだが、香川の存在によって、サイドからのクロス中心のユナイテッドの攻撃に、中央からパスを回しての侵入という新しいオプションが生まれていた。
もちろん、香川起用による守備的なリスクは百も承知だ。それでも、香川スタメン起用のようなリスクを負った采配が出来ないようでは、今後のユナイテッドはジリ貧の状況に追い込まれていくのではないだろうか。
マンチェスターダービーのパフォーマンスを目の当たりにして、そんな危機感を感じ始めている。
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