巧妙だったゲーム運び
前半10分に先制された直後、同点の足がかりを作ったのは田中だった。近藤直也から出たクサビの縦パスを中盤で受け、ポストプレーで栗澤に落とした後、田中は右サイドのオープンスペースへ流れて、キム・チャンスからボールを受ける。
そこから再度サポートに入った栗澤のアーリークロスが同点のオウンゴールを生んだ。逆転の2点目はCKから決まったものであるが、そこに至る経緯を振り返ると、自陣の低い位置で柏がボールを奪った時、いち早くスペースへ飛び出して敵陣までボールを運んだのは田中だった。
猛暑の中、本来ならば足が止まってくる時間帯にもかかわらず、田中は持ち前のエネルギッシュなプレーで敵陣深くまで入り、CKを得るのである。
終盤、アルシャバブがトーレスを下げ、FWのムハンマドを投入。“巧さ”を捨て、“高さ”によるパワープレーで猛攻を仕掛けてくると、柏も増嶋竜也を投入して、4-1-4-1から3-4-3へシフトチェンジし、空中戦に強い近藤、増嶋、鈴木大輔をゴール前に並べて弾き返した。
こういうフィジカル勝負は水原や全北の韓国勢との対戦で何度も経験していたため、押し込まれはしていたが、選手たちは比較的落ち着いて対応ができていたように見える。
相手のキーマンを封じつつも、要所では自分たちの良さを出し、そしてリードを奪えば最後はしたたかに逃げ切る。難敵アルシャバブをアウェイゴールの差だけ上回った柏。敵地リヤドでの第2戦は、アウェイにもかかわらず、柏のゲーム運びの妙が光った試合だった。
【了】