フットボールチャンネル

元エルゴラ編集長による『サッカー批評』批評。縮小傾向のメディアと真実を書きにくいサッカー界の厳しい現実

text by 川端暁彦 photo by Asuka Kudo / Football Channel

意味不明なページもあったが、感じられた気風

 座談会ではサッカーメディアそのものが直面している経営的困難の話もさせてもらった。別にサッカーに限らず、現代紙メディアが総じて「撤退戦」を強いられているのは確かだ。すべての領土を失うことはなかろうが、徐々に削られていっているのは紛れもない現実。「滅亡」する勢力が出てくるのも必然だ。

 今号について業界関係者(予想どおり、今号は明らかに関係者の購買率が高い!)に意見を聞いて回ったが、「内輪受けじゃないか」という批判も多かった。確かにJクラブ広報へのアンケートや、サッカーライターの謎の褒め合いページなどは正直に言ってしまえば、意味がよく分からなかった。

 ただ、木をもって森を否定することもない。全体として、現代サッカーメディアを一考する資料として興味深いものだったし、紙メディアが「撤退戦」を強いられる渦中で逆撃を試みんとする『批評』の気風は感じられた。

 なお、今号における個人的なお気に入りは、海江田哲朗氏による『世にも不思議なサッカー村の掟』と杉山孝氏による『ウェブ媒体の記事に信憑性はあるのか?』の2本。後者は、この『フットボールチャンネル』にも関わる問題を平易に描き出している。この辺りの話は、植田編集長にも一度うかがってみたいところである。

【了】

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サッカー批評ISSUE64 サッカーメディアを疑え!

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