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CLユベントス戦でコペンハーゲンが見せた賞賛すべき奮闘。サッカーの美しさ、本質とは何か?

スタッツでは完敗だが…

 さらに、特筆すべきは昨日のコペンハーゲンにおける地元ファンの応援である。それこそ彼らは文字通りのエールと喝采を送ってはオラが街のチームの健闘を称えていた。もちろん相手があのユベントスであったということが彼らの心理に大きく影響していたとしても、あれだけの「超守備的」なサッカーである。

 ブーイングのひとつもあって然るべきところなのだろうが、彼らにそんな素振りは一切なかった。ユベントスの怒濤の攻めを凌ぐ度にファンは総立ちになる。ピルロからボールを奪っただけでもう決勝点でも決めたかのような万雷の拍手が鳴り響く。

 なおかつ、彼らの1点は前述の通りFKからの混戦によるものだが、それとてユベントス側(DFキエッリーニ)の明らかなミスあってのものだ。決して“美しい流れ”の中から生まれたゴールなどではない。そしてさらに言えば、後半9分に喫した失点の場面でもコペンハーゲンのDF陣に特段のミスはない。あれは決めたFW(クアッリャレッラ)を賞賛すればそれでいい。

 ファンはただ純粋に、身体を張って戦い抜いた選手らを鼓舞し称えていた。

 かくして、直近のセリエAを2連覇しているユベントスは、およそ無名揃いと言うべきCLの舞台では“弱小”であるはずのコペンハーゲンを相手に、その堅守に行く手を阻まれる格好となった。
 
 以下、参考までに試合のスタッツを。

・ポゼッション=コペンハーゲン44%:56%ユベントス
・シュート総数(枠内)=コペンハーゲン8(6):25(13)ユベントス
・チーム重心平均=コペンハーゲン48.1メートル:60.4メートルユベントス
・CK=コペンハーゲン3:16ユベントス
・クロス=コペンハーゲン13:49ユベントス
・パス本数=コペンハーゲン377:512ユベントス

 平たく言ってしまうと、その内容のみに限ればコペンハーゲンはボコボコにされた、となる(ちなみに、伊国内でもユベントスがそのチーム重心平均で60メートルを超えることは極めて稀だ)。

 しかし引き分けてみせた。決め切れなかったユベントスに厳しい眼を向ける一方で、やはり彼らコペンハーゲンの健闘と守備の美しさに改めて心からの拍手を送りたいと思う。

 いやはや、それにしてもサッカーはこれだから面白い。

【了】

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