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欧州でさらなる高みを目指す内田篤人。CLステアウア戦で描いた知的で先鋭的なサイドバック像

text by 本田千尋 photo by Ryota Harada

CLで見せた「際どいパス」

 ブンデスリーガ第5節のマインツ戦では、前半42分、前線から降りて来たボアテングに、内田からいい形で縦パスが入りかけた。

「あそこは、結構狙っているんで。彼も早いパスをくれって要求しているんで、いいパスは入れたいと思いますけどね」

 結果的にカットされ繋がらなかったものの、ボアテングも拍手で内田に応えていた。繋がっていれば、前線へ早く効果的な攻撃が出来ていたに違いない。

 もちろんこうしたパスばかりにこだわっている訳ではない。「勝つために、繋ぐか、蹴るかは決めよう」と考えているのだという。

 13-14シーズンの欧州チャンピオンズリーグ、グループEに入った内田の所属するFCシャルケ04は、FCチェルシー、FCバーゼル、ステアウア・ブカレストと対戦することとなった。内田にとっては、3度目のチャンピオンズリーグだ。

 ホームで行われた初戦のステアウア戦で、内田は、自身の言葉通りのプレースタイルを見せていた。ボールを持ったときには、如何にして組み立てるか、ということに細心しているようだった。

 無理に組み立てようとして、相手にボールを奪われそうなリスキーな場面では、後ろに戻すか、前に蹴る、というシンプルな選択をしていた。後半48分には前線でドラクスラーへパスを入れ、ワンツーで鋭い飛び出しを見せた。上手く合わなかったが、いわゆる「際どいパス」のひとつ、と取れなくもない。

 このような内田のスタイルのチームへの貢献度は、とても高いと言えるだろう。最終ラインに「ボールを回せる選手」がいる、ということは、チーム全体に落ち着きをもたらすものだし、緻密なパス交換は効果的な攻撃に繋がっていく。アップダウンを繰り返し攻撃参加するということに留まらず、内田は、知的で先鋭的なサイドバック像を、ピッチの上に描いている。

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