大勢が決着しての5点目だが、そこには大きな意味が
復帰後の公式戦10試合10得点という暴れっぷりとその多くがファインゴールであることにごまかされがちだが、ボールを持った時にずば抜けた才を見せるのはJ1で戦っていた2年前にも披露していたものだ。
「日本人にはないスパッとしたシュートを蹴ることが出来る」と長谷川監督も評価するポテンシャルを再び世界で発揮したいのであれば、オフザボールの質や前線からのサボらない守備はもはや最低限のタスク。90分間のゲーム体力も含めて、飛び越えるべきハードルは決して少なくない。
水戸戦では前線からの守備と攻守の切り替えをキーワードに掲げた長谷川ガンバだったが、指揮官の微調整は最終ラインにも施されていた。
DF陣で唯一、高さを武器とする西野貴治でなく、丹羽大輝をピッチに送り込んだのはひとえに「攻撃的な守備」を体現するがため。かつての宮本恒靖や山口智と言った強気なラインコントロールを持ち味とする背番号5は、高い位置からのプレスを自らのライン設定で実践させることを求められていた。
「守りのための守備でなく、ラインを高く保って、中盤を押し上げれば、必然的に前の二人も守備に行かざるを得なくなる。ガンバは攻撃が好きな選手が多いから、その分高い位置で奪わせてあげれば、良い攻撃にもつながるんです」(丹羽)
そんなチームの狙いがズバリと表れたのが83分に二川孝広が奪った5点目だ。
相手ゴール前で途中出場の川西翔太(ロチャのスタミナが現状では90分持たないだけに、今後に期待がかかる男である)がプレッシャーをかけ、相手のバイタルエリア近くまで進出していた遠藤がボールホルダーに絶妙な寄せを見せて宇佐美がマイボールにすると、最終的に遠藤がお膳立てのラストパス。
大勢が決していた5点目といういわば「追い風参考」ではあるものの、長谷川監督が狙いとする攻守の切り替えが体現された1点だった。
原点回帰に向けて確かな足がかりをつかんだG大阪と、攻守両面で鍵を握る宇佐美は残り9試合で更なる高みを目指す。
【了】
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