守備意識が徹底していなかった長崎戦
勝った時でも相手を下に見る言葉は決して口にせず、敗れた時も絶対にチームメイトを責めるようとしないクールな背番号7が自嘲気味な言葉にしたのがホームで今季初黒星を喫した長崎戦の戦いだった。
徹底したマークと走力で挑んできた長崎に力負けの格好で1-2の完敗を喫したが、この試合で浮き彫りになったのが宇佐美貴史とロチャの守備力の弱さ。
「前からプレスに行けなかったというよりは、行こうとしていなかった」と遠藤保仁も終始苦しい体制での対応を強いられた2列目以降の選手たちの心境を代弁した。
不発に終わった長崎戦の時点で宇佐美とロチャの2トップが量産したのは計14得点。8月の4勝1分という好成績をもたらしたのは紛れもなく2トップの功績だったのだが、長崎戦では二人のウイークポイントがもろに露呈した格好となった。
ただ、長谷川健太監督も座して黙することを良しとしていたわけではない。既に長崎戦の前から「これからは季節的にも涼しくなる。今までは目をつむっていた面もあったが、守備は要求する」と語っていた。
長崎戦の結果の有無に関わらず前線からの守備意識の徹底は、当初からの既定路線だった。
その長崎戦を映像で振り返った宇佐美自身も、自らの不出来をこちらが驚くほど素直に認めていた。「酷かったですね。自分でも引くほど守備が出来ていないし、アジ(ロチャ)と僕のポジショニングも悪かった」
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