若かりし日のポール・スコールズを見ているかのよう
昨季、香川真司はマンチェスター・ユナイテッドの偉大なる監督として最後のシーズンを送ったアレックス・ファーガソンの下でプレーし、自身としては3シーズン連続のリーグ優勝を果たした。最近では、ドルトムント時代の監督であるユルゲン・クロップに「世界のベストプレイヤーのひとり」と形容されている。
ユナイテッドの優勝パレードの映像やソーシャルメディアの写真を見ると、香川がピッチ外でもチームに溶け込んでいる様子が伝わってくる。
では、ユナイテッドのファンは香川の移籍1年目をどう評価し、今後に何を期待しているのだろうか?
多くの意見としては、概ね満足しているようだ。向こう数年間、セレッソ大阪で育った男が“赤い悪魔”のキープレイヤーになり得るという信用を、ファンは朧(おぼろ)げながらも得ることができた。
ブライトン出身で28歳のアルニ・ロクナーは、熱心なユナイテッドファンだ。オールド・トラフォードにおける香川の成長をしっかりと追いかけてきた。クラブが生んだ伝説的選手、今年限りで引退したポール・スコールズと共通点を感じたという。
「香川真司のバランス感覚、ボールコントロール、ボールを持ったときの落ち着きに、すぐに魅了された。若かりし日のポール・スコールズを見ているかのようだったよ」
ロクナーが続ける。
「香川は幽霊のようだ。ポジショニングが傑出しており、誰も捕まえられないようなポジションに突然現れ、様々な位置からゴールを決めてきた。ここ数年間のユナイテッドのスタイルである、ワンタッチパスも多用している。時折、試合のテンポが香川にとって遅すぎるのではと感じることもある。彼はボールを受け、即座に離す。でも、他の選手はパスを受ける準備ができていない。香川を活かすために、試合のテンポが遅くなることもある。彼に機会を与え、チャンスを生み出させようとするんだ。それは、ワールドクラスの選手だけが持っている特性だ」
ロクナーによる香川への称賛は、まだまだ終わらない。
「香川はめったにボールを失わない。中盤の誰よりボールに触り、自身とチームメイトに自信を示している。ユナイテッドの中盤において、タックルの成功割合が最も高かった選手でもある。総数こそ一番少なかったが、88%のタックルを成功させた。今季、ゴールとアシストを合わせて9つを記録し、中盤の選手で最も貢献度が高かった。ユナイテッドに加わって以来、最高のシーズンをすごしたマイケル・キャリックと比べても、本当に驚
かされる数字だ」
今夏、クラブの背番号10が望み通りに移籍したとしても、ロクナーが悩まされることはないだろう。香川がスムーズにプレミアリーグへ適応したからだ。
「移籍1年目からチームに上手くフィットしたと思う。すべてが上手くいったわけではないものの、持てる能力の一部が確かに垣間見えた。香川が最もプレーしやすいポジションで起用すれば、チームのファースチョイスから揺るぎない存在になると思う。来季、ウェイン・ルーニーが移籍した場合、ロビン・ファン・ペルシーの下で起用するべきだ。左サイドでも最善を尽くしていたが、オランダ人ストライカーの後ろで派手に走り回る姿を見てみたい。ドルトムントで、ロベルト・レバンドフスキの下でプレーしていたときのようにね」