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サウサンプトン復帰も厳しい状況。李忠成への“2つの向かい風”とは何か?

text by 内藤秀明 photo by Asuka Kudo / Football Channel

監督が志向する流動性のある攻撃的なサッカー。守備では弱点も

 今季のサウサンプトンは、かなり流動的で攻撃的なサッカーを志向している。基本システムは英国らしく4-4-2なのだが、フィールドプレイヤーの内、4バックとセントラルMFの5人を残し、他の選手達はどこのポジションの選手かわからないくらいポジションレスな状況だ。

 選手達が自由にやり過ぎている様子をみると、40歳とまだ若いマウリシオ・ポチェッティーノ監督が選手を掌握出来ていないだけなのでは、という疑惑も湧く。ただ、基本的な方向性、コンセプトが“流動性”であることは間違いないだろう。

 次々にポジションが入れ替わるサッカーは、相手を惑わし、得点チャンスが増える可能性はあがる。しかし、このサッカーの一番の欠点は守備面だ。

 例えば、相手にボールを奪われた瞬間、右ウイングが左サイドにいると、右サイドのスペースは他の選手がカバーしなければならない。ポジションがある程度固定されていると、守備面はチーム内でのルールに従いある程度自動化出来るが、ポジションレス状態だとそう上手くいかない。

 各人が判断し、自分と違うポジションのスペースのカバーのために、時には長い距離を走らなければならない。1度や2度なら多少の守備が遅れても、カバーしきれるかもしれないが、90分ともなる必ずボロがでてきてしまう。

 それでも、ボロを少しでも少なくするために、守備的なMFであるワニャマをフィルターとして起用しているが、個の力のみでは限界がある。

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