サポーターの生の感覚を理解しているか?
ここまでの騒動を振り返っても、「2ステージ復活」との新聞報道のすっぱ抜きの初報があったのが5月下旬。すぐにサポーターから反発の声が挙がり、7月9日のJリーグ実行委員会が開催される頃にはその声もピークに達していたのだが、この1ヵ月強の間、Jリーグはサポーターに対してほぼ説明責任を果たしていなかったのである。
既存の常連客を大事にせず、新しいお客を取り込むことばかり考えているお店が成長・発展するはずがない。まずは足下を固めよ、新規顧客はそれからだ、のはずである。
サポーターは、当初のJリーグの姿勢や、中西氏がメディアに答えてきたインタビューの言葉の節々から敏感に感じとってしまうわけだ。中西という人物像と、自分たちとの距離感を。
ならばその距離を縮めるために、中西氏でも、チェアマンの大東氏でも、現場に顔を出してサポーターとコミュニケーションをとるくらい機会があってもいいのではないか。たしかに、中西氏が分析するJリーグの現状認識は、理路整然としていて少なからず説得力もある。しかし、現時点では机上で算盤を弾いたような話、といった印象も拭えない。
まずは現場目線に立って「なぜサポーターはスタジアムに集うのか」「サポーターがリピートする理由はどこにあるのか」などを肌感覚で理解する必要があるように感じる。
その上で、大会方式の変更によって何が成功したのか、何が失敗だったのか、その数値や現場感覚を包み隠さずにオープンにしながら説明責任を果たしていく。そんなJリーグの動きに期待し、注視したいと思うのだ。
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