激しい批判を受けていたマリオ・ザガロ
コパ・アメリカはブラジルではワールドカップとは比べるとかなり注目は低い。欧州各国の欧州選手権(ユーロ)に対する扱いとは違う。それでも無様な負けをすれば批判される。
97年のワールドカップはボリビアで開催されていた。当時、ぼくはブラジルに滞在しており、テレビでコパ・アメリカを見ていた。
この時のブラジル代表は激しい批判を受けていた。
直近の大会、94年アメリカ大会でブラジルは70年大会以来の優勝を成し遂げていた。優勝直後から、批判的な声は少なくなかった。ロマーリオとベベットという決定力のあるフォワードを前線に置いて、他の選手は守備に注力するというサッカーはブラジルの美学に反するというのだ。
批判の矢面に立っていたのは、監督のマリオ・ザガロだった。94年大会では監督のパレイラを支えるテクニカル・ディレクターを務め、大会後に監督となった。
コパ・アメリカに参加したブラジル代表は、キーパーのタファレル、ディフェンスのアウダイール、マウロ・シルバ、中盤のドゥンガ、レオナルド、そしてロマーリオ――FCバルセロナにいたロナウドが加わっていたものの、94年の戦術を引き継いでいた。
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