日本人選手を知る人物からの後押しも
しかし、前述したとおり、香川の実力はヨーロッパでは高く評価されている。努力を怠らないまじめな姿勢も、シメオネ好みだし、両サイドで戦えるそのユーティリティの高さも、メリットだ。
また、現在、アトレティコの強化担当ディレクターを務めているカミネロは、アトレティコだけでなく、バジャドリードでも長年、選手として務めていた。その際、99年に城彰二をスペインリーグ1部に初めてやってきた日本人選手として、チームメートに迎えている。
当時のインパクトは非常に大きなものであり、クラブへの経済的メリットも大きかった。そういった経験を自ら実体験として知っているカミネロが、既にサッカー面ではその実力が証明されている香川をビジネス面からもメリットありとして、獲得を視野に入れてもおかしくない。
香川の獲得に際しての唯一のネックは、その高い移籍金であり、経済不況にクラブもなくスペインでは多くのクラブチームにとっては手が出ない高嶺の花となっている。
だが、レンタル移籍ということであれば話は別だ。安く香川を試すことができ、“これは価値がある”と認めたら、その後の扱いについて、再び交渉をはじめればいいのだから。
今回、交渉は成立しなかったが、今から冬の移籍期間までの香川とユナイテッドとの関係次第で、スペインリーグで香川がプレーする可能性は、十分あると言えるだろう。
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