ヴィジンガー監督が期待していること
2013年9月2日付のKicker誌で、ニュルンベルクの監督であるヴィジンガーはこう述べている。
「彼(長谷部)の経験とリーダーとしての素質は、直ぐにでも我々の前進の一助となるだろう」
長谷部は直ぐにでも新しい環境に馴染むだろう。2008年の1月から、既に5年半以上もの間ドイツで過している。先に述べたように、練習場でのドイツ人ファンとの応対を見ても、言葉の面で問題はない。そしてチームには日本代表で共にプレーする清武弘嗣もいる。ニュルンベルクの静かで美しい街並は、また新たな英気を長谷部の内に宿してくれるに違いない。
同じく開幕後苦境に喘いでいたFCシャルケ04は、ケヴィン・プリンス・ボアテングの加入で途端に息を吹き返した。ポジションこそ違えど、ボアテングのように、果たして長谷部はチームに新たな血脈を張り巡らせる心臓となり、ニュルンベルクを窮地から救えるか。
長谷部のニュルンベルクへの移籍は、単に長谷部自身がライバルとポジション争いをし、出場機会を確保する、ということに留まるものではない。チームの浮沈のカギを握るものだ。
加入したばかりの選手にとっては少し荷が重いかもしれない。しかし、その経験と人格を考えれば、長谷部誠というサッカー選手には、それだけの重責を担う資格があるはずだ。
近い将来、日本代表だけでなく、ニュルンベルクでも長谷部がキャプテンマークを巻く日が来るかもしれない。
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