「レギュラーを取るよりも入るまでが大変…」
タイでウェブ制作やアプリ開発などのIT企業を経営する内田淳佑氏は、仕事の傍ら、チャンスを求めてタイへ渡ったサッカー選手たちのサポートをしている。チームやエージェントの紹介から、宿泊施設の提供、時間がある時は移動の手伝い、通訳など内容は多岐にわたる。
内田氏自身もタイやマレーシア、シンガポールでプロ選手を目指したが、入団直前にチームが破たんしたり、怪我のせいで契約を破棄されるなどして24歳の時に引退。その後、タイの現地企業で働き始め、独立した。
内田氏は「レギュラーを取るよりも、チームに入るまでが大変」と語る。ネックになるのは、一筋縄ではいかないタイのエージェントたちだ。
「電話でチームとコンタクトが取れたら、エージェントだと思っている人が多い。選手を抱えるだけ抱えて、チームに入れなかったら選手のせいにされる。同じポジションの外国人を5人も一つのチームに連れていく人もいる」
せっかく日本から来ても、タイのエージェントがまったく動かず、選手が放置されてしまうこともある。1カ月の予定で滞在しているのに、2、3週間とホテルに足止めされれば、精神的な負担も大きい。移籍市場が開く期間は限られているため、時間のロスが原因で契約に至らなかったこともある。
さらにチームと契約寸前までいっても、エージェントのせいで破談になったケースもあるという。契約の際、チームからエージェントに支払われるエージェントフィーが設定されればいいが、それがない場合、選手に払われるサインフィーを選手とエージェントが折半する。
そこでエージェントが自分の取り分を増やそうと、サインフィーの額を釣り上げようとして、チーム側ともめてしまうのだ。