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Jリーグ 11年前

封印された岡山劇場(前編)

text by 後藤勝 photo by Masaru Goto

 そうして、食堂で隣の選手に「おまえずれろ」と言ってぼくを真横に座らせてくれた瞬間に、ぼくはジャイアンの横にいるスネオ状態(笑)、「オカヒョン(兄)」になってしまったんです。向こうは儒教の教えで序列の意識が強いですからね。それで話が弾み、ぼくのいたクラブはみなJの強豪だから、すごい! となったんです。

 その彼らがさかんに言っていたのは、Jリーグのクラブを紹介してほしい、ということなんです。プロが先行していたKリーグから見て後発だったJリーグが、歴史を重ね、既に見下す存在ではないということも大きいんですけれども、べつに目的はお金を稼ぎたいからじゃないんです。あのサポーターの声援のなかでサッカーがしたい、と彼らは言うんですよ。

ファンとサポーターの違い

――それは意外ですね。

岡山 ACLはめっちゃ燃えるんですけど、Kリーグで燃えないのは、観客がまばらだから。浦項スティーラーズは専用だから一万人入ったら雰囲気はいいですけど、ポスコ(親会社の製鉄会社。前身はポスコのサッカー部だった)の工場から社員動員で、サポーターではない。

 それに対してJリーグの映像には熱狂的に応援するサポーターが映っている。「なんであんなに入るの?」と言われる。おれは彼らに「そこがファンとサポーターのちがいやで」と言うんです。ファンは行って楽しんで応援する。サポーターは支えて一緒に戦う。ファンもサポーターも応援という一文字にしたら応援や。でもサポーターはいっしょに戦う。そこがサポーターとファンの決定的なちがいなんや、と。

――サポーターの重要性にKの選手は気づいたんですね。

岡山 はい、応援されたら力になる、と。逆を考えてほしいんですけど、応援されないと不利になるんですよ。応援に対して選手が聞く耳持たないんだとしたら、その選手が悪いよ。それに、たしかにサポーターが100人くらいしかいなかったら物理的に届かないかもしれないし、選手がいいサッカーをしてくれないとサポーターが増えないというのはそのとおり。でもサポーターの声は絶対届く。サポーターが自分たちの声は届いていないというのは、それは言い訳。究極的には人数を増やせば必ず届くんだから、届くことを信じて応援するべきなんですよ。特にアウェイではね。

【後編へ続く】

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