マッツァーリの可変式3バック
ただカターニア戦で目立ったのは、新境地の開拓だけではなかった。長友本来のストロングポイントについてもマッツァーリは評価し、活用している印象を受けた。
それは、戦術への対応力だ。試合後、長友はこの日のポジションについて「4バックの左SB」と説明したが、マッツァーリ監督は「3-5-1-1の左アウトサイド」と語る。これはどちらも正解。
ボールを保持していない守備の段階において、インテルは3トップを敷くカターニアに対し最終ラインを4枚にして対応していたのだ。マッツァーリのシステムにおいては、レッジーナやナポリの時代から当たり前に行われていること。最終ラインの冗長性は、3バック成立の上で重要なものだと彼は考えている。
そしてインテルにおいては、長友を活用したのである。カターニア戦では右ウイングにレトがいた。かつてリバプールによって欧州へと呼び寄せられ、故障さえなければ欧州の第一線で活躍出来たはずのこのアルゼンチン人は、トリッキーな技術を武器とするなかなかの強者だ。
それに対し、スペースを埋めて対応するタスクを与えた。4分にはすかっと裏を入れられてシュートを打たれるなど序盤は乱れたが、時間の経過とともに落ち着き、相手の攻撃のキーマンを抑制した。
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