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香川真司 11年前

なぜ強豪相手に起用されないのか? 香川を“知らない”モイーズ監督の序列から検証する

text by 内藤秀明 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

モイーズ監督の交代策。そこから見える選手の序列

 そこでモイーズ監督は、66分にミスが目立ちはじめたバレンシアに代わり、「バレンシアほど守備は出来ないが、守備的なバランスをそこまで崩さず、バレンシアより攻撃で違いを作れる選手」としてアシュリー・ヤングを投入した。

 アシュリー・ヤングはモイーズ監督の期待にある程度応え、守備面でも奮闘しつつ、よいクロスを送るシーンもあったが、得点には至らなかった。

 そして試合終了が近づいてきた78分に、ウェルベックに代わり、「守備のバランスが多少崩れる可能性もあるが、攻撃面で決定的な仕事を出来る選手」として、ベテランのライアン・ギグスを起用した。

 つまり、この采配から、モイーズ監督の中の守備面の序列は「バレンシア、ウェルベック>ヤング>香川」、攻撃面での序列は「ギグス>香川」であることが予測される。

 正直、攻撃面での「ギグス>香川」という序列に関しては仕方がないものがある。プレミアリーグで20年以上プレーし、コーチも兼任するほどの選手を上回る信頼を獲得するというのは難しいものがある。特に大一番であれば、経験豊富なベテランを起用したくなるものだろう。

 この試合においては「ギグス>香川」この序列しかわからないが、昨シーズンのパフォーマンスを考慮すれば、ウイングとしての攻撃面の貢献度は「ギグス>香川>ウェルベック、バレンシア、ヤング」である。こちらはさして問題ではない。

 ただ、どちらかというと問題なのは、守備面の「バレンシア>ウェルベック>ヤング>香川」という序列ではないだろうか。

 攻撃的な選手である香川に過度の守備を求めるのは酷なのかもしれないが、現代のサッカーは攻撃的な選手にも守備は求められる。香川は運動量、球際、カバーの意識など、守備の能力が高いとは言えない。

 よって戦力が均衡する、もしくは戦力が上回っている強豪との対決において、香川という守備の穴をつくってしまう選手は起用しにくい。今後も守備が求められるウイングで、強豪相手に起用される可能性は低いだろう。

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