守備を第一に戦ったチェルシー戦
スウォンジー戦、チェルシー戦共に共通して言えるのは、モイーズ監督はかなり無難な選手選考を行っているということだ。それもそのはず、前任のファーガソン監督からマンチェスター・ユナイテッド監督という大役を引き継ぎ、モイーズのユナイテッドが始動したのはたった2ケ月前のこと。選手の能力、性格を完全に把握出来ていない状態では、どうしても慎重にならざるを得ない。
プレシーズンマッチ中の不調もあり、就任早々にして能力に懐疑的な見方をするメディアも出始めた。そういった、厳しい風当たりを受けているモイーズ監督が、プレミアリーグの開幕2試合、特にチェルシー戦でとったスタメン選考はかなり「守備的」なものだった。
その守備的な手法はほぼ成功だったと言える。前線からのプレスにハイラインで全体を高い位置でコンパクトに保ちつつ、スピードがないCBコンビファーディナンド・ヴィディッチの欠点が露呈しないよう、ボールホルダーには厳しくプレスをかけ続け相手のミスを誘発させた。そして、チェルシーの魅力的なタレントを完全にシャットアウトし、ほぼ危ないシーンを作られることなく試合を終えた。
ただ、問題なのは、ユナイテッド同様にチェルシーが良い守備をしていたとはいえ、攻撃面で機能したシーンが少なかった点だ。ルーニーやファンペルシーは、ワンタッチプレーで違いを作り続けていたが、ウェルベックやバレンシアのウイング起用は守備面では素晴らしいが、攻撃面での貢献が少な過ぎた。
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