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圧倒的な才能を見せつけた久保くん。“日本のメッシ”はバルサのトップまで上がることが出来るのか?

text by 川端暁彦

“本物の才能”を見せつけた“日本のメッシ”

 背番号11を背負った日本人少年に注がれる視線とカメラの砲列は少し特異なものではあった。「タケフサ(久保)は、注目を浴びる中で緊張していた」(マルセル・サンス・ナバーロ監督)のも無理はない。体調も万全はなかったようで、必ずしも絶好調ではなかった。

 ただ、バルセロナに移籍したてのころの試合を映像で観させてもらっていたこともあり、その成長ぶりはよく分かった。特に感じたのは、周囲とのコミュニケーションの部分。

 言葉はすっかり問題なくなった様子で、さらに決勝では強引なタックルを仕掛けてきたリバプールの相手に食ってかかるなど(その後、笑顔で握手)、試合の中でも物怖じしない。この点については若年で海を渡る効用をあらためて感じた。

 プレー面では「日本のメッシ」という異称から3人、4人をかわしていくようなスタイルを想像されるかもしれないが、実際はシンプルにプレーしながら、機を見てドリブルを織り交ぜつつ、パスの選択肢も残し続けるスタイル。俊敏な身のこなしも大きな武器だ。

 そのプレーには、日本の指導者たちも「フロンターレにいたころから本物の才能だと思っていた」(吉田達磨・柏レイソル強化部ダイレクター)、「俊敏性とシュート、素晴らしいモノを持っている」(松尾洋・東京ヴェルディジュニア監督)とそろって賛辞を贈っていた。

 ただ、成長期前の選手である点は、あらためて強調しておきたい。この段階の選手を計るのは、やはり難しいのだ。

 実際、ローティーンで欧州にスカウトされて渡った選手としては、玉乃淳(アトレティコ・マドリー)や篠田悠輔、高野一也(ともにエスパニョール)がいるが、いずれも大きな壁にぶつかったのは成長期の後だった点は思い起こしておきたい。

 小学校6年生としては稀有なプレーを見せているのは確かだが、それをもって過度な期待をするのは、余りに早いように思う。

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