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デコが語るビッグイヤー獲得の舞台裏(前編)

text by 沢田啓明 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

ミスが重なったゆえの失点

──前半18分、試合の流れを変える出来事が発生します。中盤まで下がっていたロナウジーニョが前方のスペースへ向けて爆発的なスピードで走り込むエトーに絶妙のスルーパス。エトーがGKレーマンと1対1となり、交錯して倒れた。審判の判定はレーマンのファウルで、一発退場。試合後、「退場は厳しすぎる」という意見もありました。

「レーマンにエトーを倒す意図があったかどうかはわからない。でも、レーマンの手が確かにエトーの足を払い、それでエトーが倒れた。ゴールに直結するプレーであり、レーマンが退場させられたのは当然だったと思う。さらに、こぼれたボールをジュリがゴールに蹴り込んだのだから、主審はバルセロナの得点を認めるべきだったと思う」

──ともあれ、アーセナルが10人となったことで、自分たちが有利になったという認識はありましたか?

「いや、そうは思わなかった。というか、そう思わないようにした。サッカーでは、人数が少ない方のチームが勝つこともある。『絶対に気を抜くわけにはいかない。勝負はこれからだ』と思った」

──以後の試合展開をどう予想しましたか?

「アーセナルはMFロベール・ピレスの代わりに第2GKが入ったから、中盤でバルセロナが数的優位となり、我々のボールポゼッションが上がるはず。アーセナルは全体に引き気味となるだろうが、それだけにカウンターには一層注意しなければならないと思った」

──その後、バルセロナはゴール前のFKをロナウジーニョが蹴りますが、惜しくも左外へ。ボールは持てるのですが、なかなか決定機は作れません。逆に37分、先制を許してしまいます。アーセナルが右サイドでFKのチャンスをつかみ、アンリのキックがピンポイントでDFキャンベルの頭へ。まさかの失点でした。

「危険な場所でFKを与えたのが最初の失敗。キャンベルへのマークも、完全にずれていた。僕たちのミスが重なったゆえの失点だった。でも、サッカーにミスはつきもの。やられたらやり返せばいい。インテンシティ(強度)を保って攻め続ければ、必ず点は取れると思っていた」

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