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【特集:ボーダーレス化する世界】中東の帰化を巡る、札束と国籍(その3)

中東諸国における帰化とはどのようなものか? アフリカやヨーロッパとも密接に関わる事情について、諸外国に精通するフリーライター・森本高史氏に話を聞いた。

text by 編集部 photo by editorial staff

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湾岸諸国の“健全な帰化政策”

――その他の国は帰化に積極的ではないのですか?

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中東事情に精通するフリーライター・森本高史氏【写真:編集部】

「カタールに刺激されてバーレーンもやりだしましたね。ジェイシー・ジョン(エスキシェヒールスポル/トルコ)やアブドゥラ・ファタディ(ネーシャテル・ザマックス/スイス)といったナイジェリアやモロッコなどからの帰化選手がいますね。ただカタールと事情は違いますよ。彼らの国は内戦状態でツテを辿ってバーレーンリーグに月給10万円か20万円でプレーをするために来ていた。そこで注目されて帰化したんです。ただ日本の外国人はクラブでもリスペクトされていて、ジュニーニョは川崎の英雄でしたし、ポンテも『ロビー、ロビー』って歌までありましたよね。でもバーレーンでは完全な戦力、いわゆる労働者の扱いでリスペクトはされません。代表は神聖で、すごくステータスも高いんです。それこそ多額のお金が投資されている国家事業。国民の反発があって『カタールの真似じゃねぇか』と怒っていました。2、3年経ってくると、収まってきましたけど、当時は外国人のせいで負けたと言われていました。バーレーンもそこまでは4名を一気に帰化させましたけど、その後は露骨にはやってないはずですね。サッカーが強くなってもやっぱり国民感情がありますから」

――帰化を容認していない国の事例はあるんですか?

「UAEは帰化がダメなんですよ。スーダン人でも選手になれません。UAEのパスポートは純血のUAE人しか持てません。純血のUAE人の定義も難しいですけどね。カタールだったら移民のスーダンやイエメン、エジプトの子供でもアル・ガラファとかの下部組織に入れますけど、UAEはダメなんですよ。イエメンの移民の子供がドバイに生まれたら、サッカー選手になる可能性はゼロですね。18歳までにどこかのストリートから国外に出なくちゃダメですね」

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