昨季からの進化とは?
その後も33分のダイレクトクロスなど、中盤のパスワークと連動しながら高い位置まで攻め上がった酒井は、守備でもボランチのアンドレアセンやセンターバックのマルセロと息の合った動きで、シャルケの仕掛けを封じた。
後半19分にはシャライの飛び出しに対し、オフサイドを取りに行ったところで2列目からクレメンスに飛び出され、あわや失点という場面も。しかし、ほぼ安定した守備を見せながら、タイミング良い攻撃参加を繰り出した90分間だった。
前置きした通り、およそ60分間で数的優位だったこともあり、パフォーマンスを額面通りの高評価することはできない。しかしながら、得意のオーバーラップとクロスをチームの攻撃スタイルに融合し、守備でも組織の中で持ち前の強さを出せていることは、チーム内での着実な進歩を実証している。
コンフェデレーションズカップのメキシコ戦では守備の対応をミスし、クロスからの失点を招くなど、ザッケローニ監督の期待に応えられず、先日のウルグアイ戦では招集メンバーから漏れた。主力の内田篤人はもちろん、左右のサイドバックを兼任する酒井高徳や駒野友一との競争でも有利な立場にあるとは言えない。
ハノーファーにおいても現状は、キャプテンのチェランドロが左膝を手術し、出遅れていることから、継続的に起用されているに過ぎない。しかし、今後も仲間と良い組織を築きながら、積極的な攻撃姿勢を続けることができれば、パフォーマンスの向上とともにチームでの地位を上げ、日本代表での競争を活性化する存在になるはずだ。
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