酒井が攻撃参加しやすかった理由
象徴的なシーンは11分。中盤のプリブからのバックパスをマルセロが受けると、酒井は右でパスを引き出そうとするが、前線のディウフにクサビのボールが出た瞬間、ライン際をオーバーラップした。
この間、酒井の前にいたシュティンドル手前に引いて、シャルケの左サイドバックであるフクスをつり出し、ドラクスラーがその裏を絞り気味にカバーしたため、駆け上がる酒井の前方が空いた。
結局、ディウフはブールキープから、動き直して前を向いたシュティンドルがバックパスを受けてクロス。精度を欠いたボールをGKのヒルデブラントにキャッチされたが、チームの攻撃の中で“スイッチ”をイメージし、機を見て積極的にオーバーラップを実行できることを示す場面だった。
数的優位になってからは、酒井のオーバーラップが何度もチャンスを生み出した。シュティンドルがドラクスラーとフクスを引き付け、外側を酒井が追い越す。
18分にはディウフが縦パスを受け、そこから展開を受けた酒井のクロスに4人が飛び込んだ。ディフェンスラインに下がっていたノイシュテッターが、的確な戻りからクリアできなければ、この時点で酒井のアシストにより、ハノーファーが追加点をあげていたはずだ。
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