憧れの地ではなくなった日本
元々ブラジル人選手は他の南米大陸の選手と違った気質を持っている。
例えば、アルゼンチンのサッカー選手は現役を終えた後も、欧州にそのまま住み続けることが多い。元々は欧州を食い詰めて国を後にしてきたという負い目が根底にあるのかもしれない。
一方、ブラジル人の母国に対する執着は強い。
カーニバルに参加するためにわざわざ帰国したエジムンド(元ヴェルディ、浦和)のような選手がいたことも記憶に新しい。ポルトガルに帰化したデコだけでなく、日本に帰化した呂比須ワグナーも選手引退後はブラジルに戻った。
同等の収入ならば、迷わず母国を選ぶ。それがブラジル人である。世界中、サッカーを求めて移動する遊牧民――ブラジル人選手にとってもはや日本は憧れの場所ではなくなった。
そして2011年1月、ロナウジーニョがフラメンゴへ移籍した。この移籍の裏側にもある“からくり”があった。
【次週に続く】