組織と個は二律背反ではない
「あそこでもっとガッツリいけば、シュートは外れたかもしれないし、少なくともボールの威力が弱まって、川島さんが止めていたかもしれない」と語る酒井高徳は攻撃的なサイドバックとして知られ、本人もその自覚は強い。しかし、だからこそ守備のピンチを救うことで、価値を高められるという意識もある。
「攻撃陣の救世主というのは良く言われがちだけど、やっぱり守備で頑張ってチームのピンチの時に守ってくれる。そういう選手が一人いることで、チームの士気も高くなると思うし、あそこで自分が止めていたら、“裏を取られるなよ”と一言カツを入れることもできたと思う。あそこで失点するしないは、ラインの問題もある。でも僕はそういう場面で止められる選手になりたい」
組織と個人は決して二律背反するものではない。しっかりディフェンスラインの意識を統率しながら、相手に破られかけたところで個々が素早く決断して対応する。相手のアタッカーが強力になればなるほど、その両方が揺さぶられるが、それでも崩れない組織と個人を高め、互いの信頼関係を築くことが重要だ。
「別にシステムを変えるとか、そういうことじゃないと思う」と内田。本大会に向けて、ボランチにより守備的な選手を起用する、攻撃人数を減らすなど守備を強化する方法はある。実際に前回は半年を切ったところで舵を切り、ベスト16という結果を残しているわけだが、現在のコンセプトの中でも突き詰められるものはある。ただし、そのための時間が非常に限られていることも事実だ。
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