ゴール前で体を張るだけでなくドリブル突破も
ブラジル風に言うならば「タンキ(重戦車)」とでも言うべきフィジカルを持つ背番号9ではあるが、実にクレバーな選手でもある。母国語のポルトガル語に近いとは言え、同じラテン語をルーツに持つスペイン語とイタリア語、ルーマニア語に加えて、ドイツ語も駆使。
「ロチャがドイツ語を話せると聞いた瞬間から、コミュニケーションが取れるなと思っていた」と宇佐美貴史は戦術的なコミュニケーションも密にしている。
前線からの猛烈なプレスでも貢献した倉田秋とレアンドロほどの、運動量は期待できないものの、最前線で起点となったり、シンプルにはたいたりするそのスタイルは佐藤晃大の復帰が遅れている今、余りにも貴重な存在だ。
福岡戦では前線で体を張る場面だけでなく、その巨躯を持て余さずに相手DFを上手く交わすドリブルで単独突破の姿勢も見せ始めた。本人は「コンディションが上がってきた影響もあるし、監督から裏への突破やスペースに顔を出すことを求められている」と語る。
福岡戦でも宇佐美と2トップの関係性でフィニッシュに持ち込む場面もあったが、ロチャ自身もG大阪が持つ攻撃のタレントの多彩さに自らを生かす可能性を感じ始めている。「宇佐美だけでなく、晃太郎とも関係はもっと良くなるし、カピタン(遠藤)からは良いボールが出てくる」。
現状は2トップでの起用が濃厚だが、倉田が復帰すればロチャを1トップに配置する新布陣も指揮官のオプションの一つになるはずだ。
遠藤も言う。「ロチャの強さはゴール前で発揮して欲しいのでそれは僕らのそこまでの組み立てにかかっている」。
長丁場の昇格レースもいよいよ第3コーナーに差し掛かろうとしているが、リーグ最強の攻撃陣は、まだまだその最終形態を見せ切っていない。
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