ボランチへのこだわりは強かったが…
「正直、ボランチが自分の天職で花形だとずっと思っていたから、トップ下がこんなに楽しくなるとは思わなかった。たぶん、ルーキー1年目はトップ下で出ていたけど、そのときの良くないイメージがあったんだろうね。
これまでも試合の流れの中でトップ下をやることはあったけど、ボランチが仕事場だと思っていたから。今はトップ下だとボールが入って来るし、ゴール前で冷静にシュートも打てる。なんて美味しいポジションなんだと思ってる…この年にして蜜の味を知ったね(笑)」
キャリアを積み、年齢を重ねるにつれて、自分のポジションを“下げる”のはごく自然だが、30歳を過ぎてからボランチからトップ下にポジションを“上げる”選手も珍しいかもしれない。いずれにせよ、中村憲剛は、今、トップ下が天職だということだ。
「(代表に)選ばれるかどうかは自分の力が及ばないところの話だから。でも自分の力が足りないわけではないと思っている。しっかりやっていけば、そのうち呼ばれるでしょう」
そう話した翌日、権田修一、森重真人、高橋秀人といった代表勢がそろうFC東京守備陣からゴールを記録。その好パフォーマンスぶりは相変わらずであった。
「自分ができるのはこれだと堂々とやっている」
ブラジルワールドカップまで残り1年。年齢的にこれがラストチャンスになるであろうことは本人もよくわかっている。それでも、中村憲剛は決して焦らない。
【了】
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