パラグアイ戦と同じイメージで出せた仙台戦のアシスト
“今は中村史上で一番良い”とは、これまた名言が出たものだとノートを書くペンに力が入ったが、確かにトップ下のポジションで見せ続けているハイパフォーマンスを目の当たりにすると、それも納得である。
例えば第19節の仙台戦では、山本真希から配給された縦パスを、走り込むレナトの足元へとダイレクトで通すという、驚愕のアシストを見せている。人数をかけて守っていた仙台守備陣もお手上げの圧巻の崩しだった。
「受け手と出し手が合えば、2人だけで崩せる。だから相手の守備は関係ない。あれは面白いでしょ?」と、本人はこともなげに話していたが、たぶんあのパススピードであそこに通せる技術を持つ選手は、日本にはいないだろう。本人いわく、代表でのパラグアイ戦で香川真司にアシストしたときと全く同じイメージだったそうである。
――トップ下か、ボランチか。
思えば、南アフリカワールドカップ以降の中村憲剛は、ザックジャパンではトップ下で起用され、川崎フロンターレではボランチでプレーするという状態が長く続いていた。
本人は所属クラブ同様、慣れ親しんだボランチのポジションにこだわりがあったが、日本代表では遠藤保仁と長谷部誠のコンビがファーストチョイスである以上、なかなかそのチャンスは巡ってこなかった。だが最近は、クラブでプレーしたことでトップ下のポジションが楽しくて仕方がないのだという。
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