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Jリーグ 11年前

多摩川クラシコで躍動した中村憲剛。FC東京の“川崎対策”はなぜかわされたのか?

text by いしかわ ごう photo by Asuka Kudo / Football Channel

ボランチにパサーを並べた効果

 中盤に関して言えば、川崎フロンターレのダブルボランチは、いつもの稲本潤一と山本真希のコンビではなかった。右太ももの負傷で前々日と前日練習をともに途中で切り上げた稲本が欠場を余儀なくされ、森谷賢太郎がボランチの一角を務めていた。

 森谷はパス技術に定評のある選手だが、ボランチは本職ではない。周囲との連係面を含め、不安要素があったのも事実だろう。しかしこの日は、思い切りのよいチャレンジと出足良いボール奪取でカウンターの芽を潰すなど、中盤の底でファイトし続けた。

 もちろんボールを持った技術の正確性は高い。山本とともに後ろでの組み立てを丁寧にこなし、攻撃面でも中村の負担を軽減させている。例えば後半開始早々に中村が流し込んだ2点目は、森谷が組み立ての起点となって右サイドに展開したものだ。

「いつもなら崩しに参加しているが、今日は自分がいなくても崩せていたので、エリアで待っていようと思っていた」と中村は、自身の得点シーンを振り返る。

 ボールを受けて裁き、ゲームを作れるパサーがボランチに2人いたことで、ゴール前の決定機だけに専念できていたということだ。軽い熱中症とのことで、試合後の森谷はミックスゾーンには現れなかったが、攻守両面での奮闘ぶりは今後に向けた収穫となった。

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