将来的には楽観視できない経営状況
1977年から続いた前身のナショナル・サッカー・リーグ(NSL)を引き継ぎ、本格的プロリーグであるAリーグが誕生したのは、2005年。ここでは書ききれないような紆余曲折を経て、今年9月末に開幕する2013/14シーズンでAリーグは9年目のシーズンを迎える。
その来季を戦う現行10クラブの中で、資金も豊富で、なおかつ集客力のあるいわゆる“ビッグ・クラブ”は、シドニーFCとメルボルン・ビクトリーの2つのクラブ。WSWは、暫定的にAリーグがチームを運営している状態でもあり、スタジアムのキャパも2万人少々と少なく(注:来季のスタンド増設は決まっている)、現時点では“ビック・クラブ予備軍”といったところか。
それ以外は限られた資金の中でやり繰りをしているクラブがほとんどで、10/11、11/12シーズンにファイナル連覇を果たしたブリスベン・ロアやACLの常連で日本のファンにも馴染みの深いセントラルコースト・マリナーズといった強豪ですら、何とか現オーナーに買収され経営が安定するまでは、常に綱渡りの経営を強いられていた。
今後も、オーナーの事業の業績悪化などの煽りを受けて存続の危機に陥るクラブが出てくる可能性も否定できない。観客動員も、年間平均(12/13シーズン)で10,000人の大台に達したのは、全体の半分の5クラブだけで、それ以外のチーム同士の対戦では、空席が目立つ寂しいスタジアムの光景が多く見られるなど、Aリーグの将来に関して必ずしも楽観していればよいという状況ではない。
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