冷静さを失わない山口
ロンドン五輪が終わり、次に目指すべき場所はフル代表となった昨季の夏以降、「フル代表に入るにはまだまだ足りないものが多い」という言葉が山口螢の口癖だった。
また、今季はチームでは2列目で起用されていたため、「(代表で選ばれるとしたら)ボランチだと思うので、今はあまりアピールにはならない」とも話していた。
“現実を見失う”ということが、山口には、ない。取材対象者として接する山口は、常に自己に厳しく、声のトーンは一定である。勝った後も、負けた後も、自身がゴールを決めた後も、自身の出来が今一つであった後も……。
表情に多少の違いこそあれど、淡々と、冷静に、その場で起きたことをしっかり話す。メディア対応と同様、プレー面でも年を追うごとに安定感は増し、チームに欠かせない存在となった。
プロ入り直後はプレーでもメンタルでも波があったが、ロンドン五輪で予選・本戦を通じて主力として戦い抜いた中で、現在のスタイルが形作られていった。
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