次々と駆けつける仲間たち
10:13 救急車到着。出発までの12分間に人工呼吸、心臓マッサージAED処置を行う。この時すでに松田は意識のない状態
10:25 救急車がグラウンドを出発。途中でドクターカーに乗り換える
10:50 信大病院救急救命センターに到着。この時、すでに松田は心肺停止状態
救急車より先に信大病院に到着した大月は、搬送されていく松田を見て絶句する。白目を剥いて変わり果てたその表情を見て、あらためて「ただ事ではない」ことを覚悟した。その後、急性心筋梗塞と診断されると、松田はICU(集中治療室)に移され、人工心肺装置を装着される。大月は担当医師から、こう告げられたという。
「たとえ助かったとしても、サッカーはもう無理です――」
その後、大月は松田の家族を出迎えたり、メディアの対応に追われたりと、無我夢中で病院内を駆け回ることとなる。その間、松田のフットボール仲間や元チームメイトが続々と信大病院を訪れていた。山雅の広報、越後有希は、次々と現れるスターたちの名前を、可能な限り書きとめている。
2日:河合竜二(札幌)、田中隼磨(名古屋)、榎本哲也、中村俊輔(以上、横浜FM)、佐藤由紀彦(長崎)、城彰二、平野孝、安永聡太郎、川上直子(以上、解説者)、薩川了洋(長野監督)
3日:平野、安永(以上、解説者)、石川直宏(FC東京)、三浦淳宏(解説者)・大竹夕魅夫妻、大竹七美(解説者)、山瀬功治、田中祐介、小宮山尊信(以上、川崎)、田中隼、楢崎正剛、三都主アレサンドロ、田中マルクス闘莉王(以上、名古屋)、鈴木隆行(水戸)、河合(札幌)、小椋祥平、飯倉大樹、長谷川アーリアジャスール、狩野健太、栗原勇蔵、兵藤慎剛、松本怜(以上、横浜FM)、ハーフナー・マイク(甲府)
4日:平野、安永、名波浩(以上、解説者)、川口能活、那須大亮(以上、磐田)、榎本、中村、秋元陽太(以上、横浜FM)、吉田孝行、宮本恒靖(以上、神戸)、三浦知良(横浜FC)、熊林親吾(草津)、尾本敬(水戸)
普段は静かな街・松本に、日本サッカー界の大物たちが続々と駆け付けている。その状況をTVで見て、多くの山雅サポーターは、遠からず松田との別れの日がやってくることを悟った。
そして、倒れてから51時間後の4日、13時6分――。
松田直樹、永眠。享年、34歳。