中国戦「自分たちは何もやっていなかった」

　案の定、指揮官は21日の初戦・中国戦で森重と代表常連の栗原勇蔵をセンターバックに並べた。高さと競り合いの強さを誇る栗原と、カバーリングとビルドアップに長けた森重を組ませれば、最もバランスがいいと判断したからだろう。

　ところが、代表経験豊富な栗原が開始早々にPKを与え、試合の入りは難しくなった。それでも森重は混乱することなく、相手をつぶしにいく対人の強さを随所に発揮する。ビルドアップに関しても、青山敏弘が下がってくるのに合わせながら動く。

「前半は探り探りで、出し手と受け手の関係がうまくいかなかったので、シンプルな攻撃を心掛けて、あとは守備をしっかりやろうと考えました。いい形でアオ君が受けて、FWが動き出すことも徐々にできるようになりましたし、1つアオ君に入ったのがスイッチだったのかなとも思います」と同じ北京世代の青山の働きに助けられたと言う。

　栗原の同点弾、柿谷曜一朗、工藤壮人が2点を加えて3－1にしたところまではまずまずだった。しかし相手が両サイドバックの背後に蹴り込み、中央を突いてきた終盤は防戦一方になり、森重も2失点目に絡んでしまう。

「2本目のPKのところはクリアを小さく中にしてしまって、それを拾われたので、まずは外へというのが大事だったかもしれない」と本人も悔やむ。

　さらに、クロスからの3点目も防ぎきれなかった。自らが直接絡んだわけではないが、彼は責任を強く感じていた。

「人数は全然足りていたのに、自分たちは何もやっていなかった。ただ突っ立っていただけだったので、苦しい時間の中でもディフェンスラインはサボってはいけない。しっかり人に付くことをやっていかないと」と森重は自戒の念を込めて口にした。