フットボールチャンネル

日本代表 11年前

ザックジャパンの停滞を生んだ、過剰な本田礼賛

text by 竹田聡一郎 photo by Asuka Kudo / Football Channel

本田の代役、期待するべからず

 別に本田を責めているのではない。批判の種は南アW杯でイチかバチかの起用が当たった岡田監督であり、それを安易に継承してしまったザッケローニであり、FC本田へ変貌する代表に警鐘を鳴らさなかった我々マスコミやファン、協会である。ある意味では本人は被害者だ。いたずらに能力が高いから多くを期待され、替えのきかない選手になってしまったのだ。

 本田はこの夏のACミランと移籍に向けて移籍交渉中であるが、仮に合意しミラノ行きが決まってもスターが揃うビッグクラブでスタメンが保証されているわけではない。試合から遠ざかったら「本田不在」が代表にとってさらに深刻な病巣となってしまうリスクさえある。

 東アジアカップが終わり、柿谷曜一朗、大迫勇也、齋藤学、豊田陽平etc……。バラエティ豊かなオフェンスの名前が出てきた。本田は彼らと競争、あるいは共存することによって初めてさらなる「個」を磨く余裕を持てると信じたい。今のままでは多くのものを背負いすぎである。日本代表の絶対的なスターではなく、レギュラー争いをする1選手に戻すべきだと思う。

 そういう意味では柿谷らにも「ポスト本田」や「本田の代役」を期待してはいけない。本田の言うようにそれぞれ強い「個」を持っていて、それを日本代表という組織の中でどう活かすかが重要だ。

 チームとして相変わらずの堅守速攻を貫くのか、組織でポゼッションして仕掛けてゆくのか、それとも新しい選択肢を提示するのか。それをザッケローニが明確に示すべきだ。いずれにしても東アジアカップで得た収穫を使って早急にFC本田からの脱却が求められる。

 あるいはそうしたら、本田もミックスゾーンで少しはしゃべってくれるようになるかしらん。

【了】

関連リンク

フットボールサミット第8回 本田圭佑という哲学 世界のHONDAになる日

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!