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Jリーグ 11年前

好調を続ける中村憲剛。成長の要因は「90分間頑張らないこと」

text by いしかわ ごう photo by Asuka Kudo / Football Channel

疲労しきった状態でも要所でスーパーな働きが出来るワケ

中村憲剛
前節大宮戦でも、“出力のタイミング”は抜群だった【写真:工藤明日香(フットボールチャンネル)】

 その仙台戦での中村は、ボランチではなくトップ下で出場すると、“ゴール前の仕事に徹し、出力のタイミング”を見逃さず、貴重な2ゴールを記録した。この1戦で何かを掴んだのだろう。

 その後のリーグ戦でも好調を維持し、3試合連続ゴールを記録。すでに現在5得点である。昨年こそ5得点を取ったものの、長らく年間4得点どまりだったことを思えば、“出力”を意識したことで中村憲剛というプレイヤーがさらに成長を遂げ始めているとも言えるのかもしれない。

 前節大宮戦でも、“出力のタイミング”は抜群だった。

 まずは前半。後ろから再三厳しいアプローチを受けていたが、登里享平からクサビとなる縦パスを受けると、そこで素早いターン。次の瞬間には、逆サイドに走り込んでいる小林悠に矢のような鋭いパスを通したのだ。

 胸トラップからニア頭上に突き刺した小林のシュートもスーパーだったが、小林本人は「あれは憲剛さんのパスがよかったので」と絶賛。1-2で迎えた後半も、相手のトラップミスを見逃さずに奪うと、同点弾となる大久保嘉人に絶妙なアシストをしている。

 連戦の4試合目。心身ともに消耗し切った状態でも中村が要所でスーパーな仕事ができたのは、彼が“出力のタイミング”を身につけたからに他ならなかったと言えるだろう。

 ブラジルワールドカップ本大会に向け、代表選手の“個”を高めていくことが叫ばれている中、32歳の中村憲剛もまた進化を遂げようとしている。

【了】

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