日本のサポーターが掲げた韓国への感謝の横断幕
レッドデビルの会長のバン氏は韓国でも大手の保険会社に勤務しているという。41歳ということだが、もっと若く見える。日本のサポーターのイメージとはだいぶ違っていた。日韓W杯の時には日本のテレビにも日本のサポーターと一緒に出演したこともあるという。
その彼は試合前のインタビューで、次のように語った。「日本人も日本も嫌いではない。私たちがいつも批判しているのは日本の政治家やナショナリストだ」と。キ・ソンヨンが日本人を馬鹿したそぶりをして問題になった一件もむしろキ・ソンヨンに対して否定的な反応である。
ただし、日本とは政治でもサッカーでも譲れないものがある、と付け加えながら。そして実際にその譲れないものを数時間後のスタジアムで混同してしまった。
「サッカーと政治が別なものはよくわかっている。ただ感情の問題だから仕方ないものはあるのはわかってほしい。『嫌韓流』といわれる韓国を批判する書籍も韓国では知られているし、反韓デモが行われていることも知っている。日本に試合に行くと、ひどい言葉がわたしたち韓国サポーターに投げかけられていることも知っている」
だが、これについては日本の一部のサポーターの旭日旗を挑発のために掲出するふるまいと等しく、私は賛同することができない。これをエスカレーションさせることが双方にメリットがあるとはとても思えない。むしろ、双方の憎しみから世の中に伝播するものこそを警戒するべきだ。
試合終了後、日本のサポーターから東日本大震災の時の韓国からの支援に感謝を示す横断幕が掲げられていた。このことは、旭日旗と政治的横断幕の陰に隠れて全く報じられていない。様々な人々が様々な意見をもつのは当たり前のことだが、ネガティブなものをぶつけあっても何一つ得ることはないということを日韓双方のサポーターが理解するべきだと思う。
【了】