実は難しかった韓国戦の2点目
柿谷を1トップに置くことで、韓国戦の前半のようにボールを回されて押し込まれた状態でもカウンター1発でのゴールを期待できる。韓国戦の前半はチームとしては良いとは言えない内容だったが、それゆえに柿谷のポテンシャルが引き出されたとも言えるだろう。
そして決勝点となった2点目。柿谷は原口元気が打ったシュートがGKに弾かれ、自分のところにこぼれてきたときは「うわ、来ちゃった」と思ったという。しかし、フィニッシュの場面から心理状態を想像することは難しい。柿谷のフィニッシュは一流ストライカーのそれだった。
シュートを打つ前、柿谷から見てファーサイドにはDFと起き上がったGKがいたので、シュートコースは空いていなかった。ただ、左から打たれたシュートが右方向にこぼれたので、DFとGKはゴールをカバーするために右サイドへ移動を始めていた。
時間にしてゼロコンマ何秒。だが、柿谷には「ファーが空く」という確信があったのだろう。迷うことなく左足のインサイドでファーを狙った。柿谷の蹴ったボールは、DFとGKの逆を突くような形でファーサイドに決まった。何気なく決めたように見えて、恐ろしくレベルの高いゴールだった。
柿谷を必要以上に持ち上げるつもりはないが、韓国戦で見せた2つのゴールは日本を優勝に導くとともに、柿谷のフィニッシャーとしての才能をまざまざと見せつけるものだったことは確かだ。
【了】